小 熊 座 第1回佐藤鬼房顕彰全国俳句大会入選集
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佐藤鬼房


  

 


  
    
        
第1回佐藤鬼房顕彰全国俳句大会入選集  

                       ■平成20年2月20日
 
                      ■於 壱番館塩竈市遊ホール
 一般の部



 佐藤鬼房奨励賞


  霜の夜の赤子わずかに発光す        石巻  土屋 遊蛍


 金子兜太特選

  鬼房忌眼鏡に氷柱二本見ゆ          宮城  俘  夷欄 

  白鳥の声する真夜のココアかな        福島  田中 雅秀

  薄雪に星空出たり常住とや           仙台  中村 孝史




 金子兜太入選

  昏れぎわは無邪気泰山木の花           佐野  山野井朝香

  軽さうな大きな荷物雪くるか             仙台  山田 史子

  臘梅に朝日子の渦鬼房忌              塩竈  山田 桃晃

  着ぶくれて古くて深い風呂洗う           大崎  中鉢 陽子

  初夢にやけに優しい奴がいた            岩手  田鎖 成子

  黒猫が白猫に添ふ冬日和              我孫子 光成 敏子

  一と粒の木の実が縁鬼房忌             宮城  星  和貴

  落暉いま凍てし七つの句碑照らす         塩竈  今田須美子

  晩年や柚子湯に首の浮き沈み           宮城  土見敬志郎

  せがまれて負ける歌留多の延延と         岡谷  平林 佳治

  たまわりし柚子と戯れ長湯せり           塩竈  阿部志美子

  初湯よりとび出してきし湯気童子          多賀城 佐藤きみこ

  冬雲の下にゴリラは毬である            千葉  増田 陽一

  一隅に冬の蝿ゐる安けさよ             仙台  菅  邦子

  お爺ちゃんコーヒーですよ春障子         気仙沼 千葉かん二



 黒田杏子特選

  鬼房の杖引く象(かたち)寒北斗        名取  鈴木トキコ

  忘れねば思い出さずに冬の紅         石巻  鈴木須美子

  壁押して敲きて鬼房忌なりけり         仙台  高城 泰子



 黒田杏子入選

  鮭死んでその川上ミにお月さま           石巻 平川よし美

  狐火やとにかく旅に出る仕度            石巻 八島 岳洋

  七草の拠なき一人めし                岩手 斉藤 道広

  ばあさまを看取るるじいさま冬菫          栃木 羽石 昭子

  手袋に指をあつめる夜の旅             栃木 中井 洋子

  下駄の歯に雪の詰まりし昭和かな         柏  小林はるみ

  冬の月寝るも食わずもひとりのみ          宮城 佐竹イツ子

  初日より大きな顔の人にあふ            仙台 武内 きゑ

  混沌を噛みしめている元旦なり           仙台 阿部 流水

  ゆめゑみの赤子を囲み初笑             藤沢 森  黄耿

  被爆者のひとり旅立つ七日かな           帯広 柳背 宗央

  戦争を知る老人会さくら餅              福島 菅野 允弘

  寒日和仏は夜の顔をして              仙台 中鉢  史

  鬼房を希望と読んで春動く             奥州 佐藤 爽遥

  死をもって無病となりし葱洗ふ           仙台 阿部 竹子




 蓬田紀枝子特選  

  鬼房のしろがねのこゑ冬怒濤          奥州 鈴木 利和

  芒原抜けだすときに人となる           栃木 斉藤 雅子

  水を漉くだけになりたる下り簗          気仙沼 村上ひろし




 蓬田紀枝子入選

  寒紅の糶落したる大魚かな             塩竈 今野紀美子

  団栗をひいふうみいと預かりぬ           福島 南  洋子

  和尚病む雪の中より見舞客             新潟 長谷川ふさを

  杉山を売って迎へる春一番             栗原 伊東辰之亟

  ふつくらと神官の声初明り              大崎 佐野じゅん

  村中が隈なく見えて春の風邪            宮城 土見敬志郎

  蹠の小石とらへし帰省かな              印西 佐伯 星子

  枯るるもの枯れて白鷺日和かな           仙台 高城 泰子

  遠洋の漁船見送る春炬燵              大崎 伊東利美子

  橋に出て右岸左岸に除夜の鐘            仙台 高橋 妙子

  寒の日の鬼房小径に人の声             宮城 大竹 寛子

  鬼房忌眼鏡に氷柱二本見ゆ             宮城 俘 夷欄

  鬼房の塩竈弁に雪降り積む             盛岡 大澤 保子

  舷といふ茶房の扉雪螢                盛岡 柴田 綾子

  立春を二日過ぎたる畷かな             仙台 沼沢うめ子




 高野ムツオ特選

  死をもって無病となりし葱涜ふ         仙台 阿部 竹子

  まぼろしの大鳥となり春の山          塩竈 浪山 克彦

  冬濤の胸中にある翼かな            宮城 佐藤 みね



  高野ムツオ入選
  考えの鬣として冬怒濤                栃木 高橋 森衛

  順はぬ魂とは窟の光苔               奈良 土屋 休丘

  風花の奥の海鳴り鬼房忌              塩竈 掘籠 政彦

  一夜干鰈は北極星の昧               野田 大野 黎子

  日に消えて影に生れし雪の精            仙台 澤口 和子

  この色はこころ色なり寒椿              仙台 松本 幸子

  寒林を抜ける朝日のひびきかな           奥州 及川テツ子

  冬の月真上にあげて子が帰る            石巻 中村すみ子

  帆手祭すぎ鬼房の深空あり             青森 佐々木とみ子

  秒針に雪降る音の集まれり             栃木 秋元 幸治

  ベランダまで押しょせゐたり冬の星         埼玉 高橋 榮一

  魔女に箒われに繻子の足袋ぶくろ         東松島 大森 知子

  鬼房の塩竈弁に雪降り積む             盛 岡 大澤 保子

  水は水の休み日となり鳥帰る            塩竈 浪山 克彦

  夕闇もはなやげるもの雛流し            多賀城 佐藤きみこ




  渡辺誠一郎特選

  空母また出て行く白き蝶となり         相模原 越高飛騨男

  一月やこけしに妻の瞳を与ふ          岩手  小菅 白藤

  師の忌来る朧豆腐を買ふと謂ふ        塩竈  秋山 笹舟



  渡辺誠一郎入選
  芒原抜けだすときに人となる           栃木 斉藤 雅子

  秋晴れの窓なし戦争資料館           沖縄 豊里 友行

  真ん中に穴あいている終戦日          宝塚 三木 基史

  雪が降る埴輪の眼のがんどう          石巻 土屋 遊蛍

  薬屋の角を曲がればいきなり春         石巻 土屋 遊蛍

  真つ向にやや荒き波鬼房忌           仙台 池添 怜子

  天高きゆゑ人間は嘘を言ふ           大阪 上野まさい

  立春の皿さまざまな音を出す           宮城 土見敬志郎

  無理矢理に着せて立たせる菊人形        佐野 高橋和か子

  壁押して敲きて鬼房忌なりけり          仙台 高城 泰子

  寒に入るわが影つれて帰り来る         川口 秋山 英子

  犬が人追ひかけてゐる冬至かな         仙台 伊探 久男

  雁行や言葉なきもの美しき            宮城 俘 夷欄

  たてよこに魚ととのひ糶初め           仙台 山本一史

  水は水の休み日となり鳥帰る           塩竈 浪山 克彦






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