小 熊 座 2013/10   №341 当月佳作抄
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     2013/10  №341   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    夜となりて空へ移れり滝の音                土見敬志郎

    火を焚けば声あげてくる盆の海              浜谷牧東子

    炎天のみな仰向けの影をもつ               中井 洋子

    稲の花もっとも白きとき契る                小笠原弘子

    猫車祭の端を通りけり                    阿部 菁女

    舟には帆蟻にはあぶら蟬の翅               我妻 民雄

    弥勒待つことすら忘れ秋の空                春日 石疼

    踊る輪のほかは暗くて鈴のおと              佐々木とみ子

    公転に飽きている星行行子                矢本 大雪

    藍の花嘘なら嘘のままで良し               関根 かな

    点滴のしづくにあらず秋の虹               大澤 保子

    開拓碑は村の臼歯よ稲の花               須﨑 敏之

    ばつたんこ死は居なくなるだけのこと          さがあとり

    身中の左右上下にある残暑               田中 麻衣

    朝顔の百の開きて潮の香                 大久保和子

    抱かれぬ人形があり原爆忌               中村  春

    原子炉は見えず語らず砂日傘              渡邊 氣帝

    八月の禱りが風の端々に                 水戸 勇喜

    何があってもここに居るから野萱草           田村 慶子

    斜面から夏雲宇宙進化論                 柳  正子

    この先の余生露草ほどでよし               板垣  茂

    秋燕やおろかにふやす假設の荷             半澤 房枝

    秋夕焼畳の上の旅鞄                    斎藤真里子

    秋燕や道はどこかで繋がりぬ               日下 節子

    鼻先に祭囃子の近づけり                 千倉 由穂

    もともとは汗だくの唄よいとまけ              畠  淑子




  
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