小 熊 座 2013/12   №343 当月佳作抄
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     2013/12  №343   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    中秋の月より近し黄泉の国                   越髙飛驒男

    前の世へ光を返す女郎花                    中井 洋子

    よそ行きの貌あつた筈秋曇                   平松彌榮子

    蛇穴にそれより沼は星の壺                   土屋 遊蛍

    稲架渡る風に新羅の匂ひあり                  浪山 克彦

    尾のふさふさと新藁の親子亀                  阿部 菁女

    月面に海の名ありて秋深し                    小笠原弘子

    地球いま病んでいますと白鳥来                 吉本みよ子

    翅ひらくとは胸ひらくこと冬蝶                   佐藤きみこ

    山姫の笑へば山の眠くなる                    八島 岳洋

    一峽を生命線に天高し                       平川よし美

    瓢の実や亡き弟の記憶なし                    田中 麻衣

    櫨紅葉安らかな死と人言ふも                   瀬古 篤丸

    一山に一山の影今朝の秋                     関根 かな

    かまつかや今日の力を今日使い                 冨所 大輔

    缶蹴りの缶は何処へ空高し                    小野  豊

    月並の俳句恥づかし蛬の秋                    田中  滿

    良き日かな子芋コロコロ洗われて                 蘇武 啓子

    芋の露転げるときの声かすか                   太田サチコ

    新藁や記憶は乳のにほひまで                   大久保和子

    秋の海尾鰭があれば死者探す                   宮崎  哲

    始まりは星の爆発夜の桃                      大場鬼奴多

    糠星の露生む光り蔵の町                     佐藤 みね

    深秋のどこかに七福神の笑み                   千倉 由穂

    足裏に木の実石ころ人の影                    棟方 礼子

    餞に虹二重とは豪勢な                       永野 シン

    荊棘線の先の亜米利加黍嵐                    松本ちひろ



 
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