小 熊 座 2015/7   №362 当月佳作抄
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     2015/7  №362   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    万緑やどこを向いても骨軋む            土見敬志郎

    水あれば水の神おり若葉風             小笠原弘子

    月あかりして朴の花匂ひだす            阿部 菁女

    山はみな懐のあり鳥の恋              日下 節子

    耳遠くなれば聞こえる青葉潮            佐々木とみ子

    欠伸するたびに紫華鬘ふゆ            我妻 民雄

    震災の神戸に買ひし夏帽子             増田 陽一

    水蛸をてんばた干しに浜滅ぶ            土屋 遊蛍

    ジューサーの音ミキサーの音五月         津髙里永子

    活火山は大地のつづき草茂る           上野まさい

    山雨急天地ふれ合ふ音のして           大場鬼怒多

    思い出の尻尾のように春の雲            秋元 幸治

    倦きもせず飛天の巡る朴の花            田村 慶子

    毛虫焼く炎見てより変声期              春日 石疼

    手に残る緑の匂い処刑の地             佐藤 レイ

    原子炉は骨壺なるやさるをがせ           八島 岳洋

    月並みのされど母校の桜かな            栗林  浩

    噴水の光の音を聴きにゆく             松岡 百恵

    きのふ来て今日帰る街ソーダ水          斎藤真里子

    かつて名に一あり二あり夏帽子          遠藤 志野

    十能も五徳も消えて青嵐              橋本 一舟

    殉教の血の色帯びてすかんぽよ          四戸美佐子

    被曝せし牛の糞する夏の暮             植木 國夫

    生きて死ぬそのくり返し実梅落つ          船場こけし

    まだ春の灯の点りゐる誕生日           草野志津久

    山吹きや滾る瀬音を明日と言ふ          坂本  豊






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