小 熊 座 2018/8    №399 当月佳作抄
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     2018/8   №399   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    長生きのわが前にある蝿叩               土見敬志郎

    虹消えてにはかに匂ふ母の髪              日下 節子

    落し文虫語で書いてあるという              沢木 美子

    夏蝶眠るこの森吾も眠らむか              増田 陽一

    自由なるかな水平線もひまはりも            上野まさい

    縄文より日の出途切れず夏の海            小笠原弘子

    罌粟ひらく五体自由にしてをれば            佐藤 弘子

    蜻蛉生れ渦巻銀河の端にとぶ              柳  正子

    山河したたり院内の廃坑墓                椊田 浩子

    人体展の列蛇行して薄暑かな              宮崎  哲

    売る程の孤独がありて貝風鈴              草野志津久

    名も知らぬ鳥の卵や青あらし               𠮷野 秀彦

    驟雨なほ工事現場の土の匂ひ              関根 かな

    薫風や生きてゐるから夢をみる              斎藤真里子

    幻夢かなひと日を薔薇の虻でゐる            山田 桃晃

    川に沿い若葉童女となるかもよ              永野 シン

    白南風のはじめは信天翁の息              栗林  浩

    夏草のゆめの猛りや草木塔                安達 幸子

    人魚にも熱き心臓桜桃忌                  水月 りの

    万緑など眼中に無く吾を生みし              大久保和子

    柵をはみ出すマーガレットや廃工場            髙橋  薫

    ビー玉に空あり八月六日にも                須藤  結

    中尊寺の夏蝶として影ひとつ                佐野 久乃

    波音の止まるはなし浜豌豆                 伊澤二三子

    蕨の手核の塵芥握りしめ                  齋藤 千冬





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