小 熊 座 2019/6    №409 当月佳作抄
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     2019/6   №409   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    鬼房の影の寄りくる初桜                 渡辺誠一郎

    大鷹交り樹上に白き十字架なす            増田 陽一

    花吹雪身を一杖に反らせたる              八島 岳洋

    流寓や桜の蕊の蜜を舐め                津髙里永子

    ガイガーカウンター蟻出る声を拾いけり        須﨑 敏之

    花筵大姉信女に囲まれて                阿部 菁女

    零戦も回天もこの春濤に                春日 石疼

    法螺貝が春の怒濤の音を噴く             𠮷野 秀彦

    石ころも地球の欠片春の風               神作 仁子

    長生の途中に作るのっぺ汁               髙𣘺和か子

    白鳥の黙つて水面蹴つて発つ             水戸 勇喜

    木漏れ日も音立てるもの鳥の恋            杉  美春

    喉奥をみせて椿が落ちている              森田 倫子

    一筋の涙の後の初つばめ                佐竹 伸一

    万策の尽きて凍滝輝きぬ                牛丸 幸彦

    飛花落花花びらどれも触れ合わず           清水 智子

    陽炎の湧き出しているマンホール           菅原はなめ

    撃たれたる記憶毛皮の全面に             小田島 渚

    世知辛い世の隅猫と寝ころがる            髙橋  薫

    存分に落花を踏みて孤独なり              佐藤  海

    死ぬまでは笑っていよう四月馬鹿           岡田とみ子

    遺言はなし田植機に糸の雨               岡本  勇

    たんぽぽと原子力推進看板              小野 道子

    カーテンの隙から夕日春休み             大坂 宏子





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