小 熊 座 2020/5    №420 当月佳作抄
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     2020/5   №420   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    残存へ人類、飛蝗、ウィルスたち          増田 陽一

    春の風天井画にも花や鳥              沢木 美子

    三月来野蒜地縛浜苦菜               我妻 民雄

    母ありしころの桜の闇にゐる             上野まさい

    馬櫪神動き出すかに春霙              永野 シン

    さざなみの先遣として春の蝶             中村  春

    還り来し魂か古墳の犬殖栗             𠮷野 秀彦

    天窓に入りきらない朧月               柳  正子

    白梅に馬来よ石川雷児の忌             あべあつこ

    親もなくマスクも無くて仙石線             水月 りの

    夜の森の花見に生者加はりぬ            平山 北舟

    生れきしが死んでゆく数蝌蚪の紐          よしの公一

    家族史は波の音より里桜               山野井朝香

    切株に根が残りゐる春の月             神作 仁子

    あくびして魂おもくなりにけり             菅原はなめ

    生涯に門出は一度梅の花              須﨑 敏之

    春光の頸城三山深呼吸                澤海由貴子

    雪解川思ひ出古きほど溢る             瀨古 篤丸

    字地内全戸独居に燕来る              小野  豊

    春の闇髪の毛伸びている途中            千倉 由穂

    かぎろへる道の果てなる廃炉作業         宗像眞智子

    悔し哀し侘し淋しき海や春              草野志津久

    多喜二忌の豪華客船闇深し             熊谷 佐幸

    菜の花の黄色が好きで二日酔            長濱 藤樹

    棄てられし村を大事に桃の花            せきね 怜

    久持良餅新ウイルスの世はかすみ         横田 悦子





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