芭蕉、子規、碧梧桐、青邨、楸邨、兜太らの足跡を辿り、
東日本大震災後のみちのくを巡る俳句紀行
『俳句』に二年間にわたって連載した<俳句旅枕>の集成
俳 句 旅 枕 みちの奥へ
渡辺誠一郎
あとがき
本書は、私なりのささやかなみちのく物語である。紀行を
綴るには、出発までの間の時間のことを九割がた文章にすれ
ばいい、とのある作家の話を聞いたことがある。しかし私に
はそんな自信はない。その地の風景を描くこと、その物語を
私なりに浮き彫りに出来ればとの思いで筆を執った。各地を
訪れ、さまざまな歴史や人物を掘り下げて理解すればするほ
ど、その地にとっては、それぞれが、かけがえのない一つの
物語をつむいでいることに、改めて気づかされた。さらにこ
の旅は、東日本大震災後のまちの姿を、目の当たりにするこ
とになった。復興の後には、新たなまちの物語が始まること
を願いたいと思う。
執筆のきっかけを作っていただいた『俳句』元編集長の白
井奈津子氏、そして出版の労を執っていただいた鈴木比佐雄
氏、鈴木光影氏に厚く感謝申し上げます。
2020年4月30日新型コロナウイルスの感染の終息を祈って
渡辺誠一郎
著者 略歴
1950年 宮城県塩竈市生まれ
1987年 「小熊座」主宰・佐藤鬼房に師事
1990年 「小熊座」同人
1996年 第一回小熊座賞
1997年 『余白の轍』(第一句集)上梓
1998年 第三回中新田俳句大賞スウェーデン賞(第一句集)
宮城県芸術選奨新人賞(1997年度)
2004年 『数えてむらさきに』(第二句集)上梓
2005年 宮城県芸術選奨(2004年度)
2014年 『地祇』(第三句集)上梓
2015年 第14回俳句四季大賞(第三句集)
第70回現代俳句協会賞(第三句集)
『渡辺誠一郎俳句集』上梓
共著 『現代俳句100人20句』他
「小熊座」編集長(1996年より)
朝日新聞「みちのく俳壇」選者
現代俳句協会員、 日本文藝家協会員
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