小 熊 座 2020/9    №424 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る



     2020/9   №424   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    天上を手さぐりでとぶ蝙蝠よ             上野まさい

    生き急ぎぶつかり急ぐ金亀子            中井 洋子

    軽がると渦巻銀河かたつむり            我妻 民雄

    ERNST はMAX 深緑の夏の月            増田 陽一

    船虫や散って地上を知りつくす           渡辺誠一郎

    螢火を追ふ不確かな踏みごたへ          津髙里永子

    搔掘のごと抽斗の底曝す               須﨑 敏之

    どんぶりに龍が身を巻く冷房裡           渡邊 氣帝

    遠雷や言葉は封鎖されぬもの            平山 北舟

    奥六郡の残り火として蓮咲けり           蘇武 啓子

    パールハーバー少し離れて鳳梨畑         丸山みづほ

    触れ合ひて色ひるがへる熱帯魚          斎藤真里子

    ささらほうさら茴香の花と虫けらと          岡村 直子

    鼻歌のようにはじまる麦の波            髙橋  薫

    蟻の世を跨いで去ってゆく子ども          千倉 由穂

    夫の命日幾度巡れど麦の秋             草野志津久

    迷いなば盟神探湯してみよかき氷         𠮷野 和夫

    不滅なるコロナウイルス玫瑰も           竹中美千代

    花茣蓙や胞衣に引かれて笑む赤子        千葉 悦重

    海の日や見えざる海に手を合はす         塚本万亀子

    北斎に一生の藍梅雨の底              阿部ゑみ子

    しづけさの要に立てり青田の鷺           小川たか子

    つかまらぬ蝶や忌野清志郎             森  青萄

    平成の尻尾の残る酷暑かな             亀山 行房

    幽谷ノ渋谷交差点梅雨ニ入ル            石川 澄子

    雪渓は潰えし夢の欠片かな             菅原 若水

    ウイルスのひたすらを賞め端居かな        竹内 葉子





パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved