小 熊 座 2020/11    №426 当月佳作抄
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     2020/11   №426   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    誰れもみな光背を持ち草の花                渡辺誠一郎

    この道は空と繋がりななかまど               我妻 民雄

    かなかなは母等の嗚咽終戦日                阿部 菁女

    萎えし手が知る莎草(かやつり)の抜き心地        佐藤 弘子

    王義之の草書か揺るるコスモスは              栗林  浩

    何処までも跳ねよと銀河に投げし石            𠮷野 和夫

    終戦日すなはち特攻兵の忌ぞ                橋本 一舟

    蟲の闇あぶらの如く浮きあがる               須﨑 敏之

    貫入の生まれる音や金木犀                 村上 花牛

    肉体は焼かれて無言菊日和                 渡邊 氣帝

    恐竜の存えし星天高し                     坂下 遊馬

    川音は真昼の暗さ葛の花                   鯉沼 桂子

    絶滅の蝶の鱗粉天の川                    布田三保子

    ばった高しセシウムまみれの翅鳴らし           植木 國夫

    音の輪を重ねて開く大花火                  斎藤真里子

    水澄むや宇宙の膨張は無音                 菅原はなめ

    くるぶしに鈴虫の声出雲崎                  あべあつこ

    ずぶ濡れのブラウス薔薇の香を放つ            大久保和子

    ひと切れの梨に始まる日曜日                丸山みづほ

    想像の翼の生えて秋の風                   大西  陽

    川滑べり光を弾く鬼やんま                  髙橋  薫

    秋の灯に絵皿の海の照り返す                樫本 由貴

    こきこきと露草の声きりもなし                兵藤 康行

    固栗がまた降つてくるハイヒール              斎藤真里子

    星の光はその海の揺れ涼新た               𠮷沢 美香

    木いちごすっぱし裏径はうらのまま             阿部ゑみ子

    人体の組織美し天の川                    菅原 若水





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