あとがき


　　一昨年、仙台文学館で「語り継ぐいのちの俳句」展が催さ

　れました。私のエッセイ集『語り継ぐいのちの俳句』所収の

　自句自解１００句から２５句を選び、写真家の佐々木隆二さ

　んが写真を組み合わせパネル展示したものです。自解は避け

　るのが俳句本来のありようですが、読みづらい句でも少しは

　理解してもらえる糸口になるかと、思い出すままに綴ったも

　のが、「文学に見る震災資料展」の一つとして取り上げられ

　開催にいたりました。

　　これをきっかけに、全国数か所で同じ展示会を催すことが

　でき、昨年の多賀城市の展示会では新たに１０作品が加わり

　ました。本書は、その写真と自句自解とのコラボレーション

　含む一集としてまとめたものです。たった十七音の俳句の世

　界が、写真によって幾重にも無限に広がります。人間の想像

　する力、生きる力に少しでも触れていただければ、うれしい

　限りです。


　　　２０２１年３月１１日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高野ムツオ