|
 |
 ２０２１／９ №４３６ 当月佳作抄
ムツオ推薦
死に際や金蠅金を昂らせ 渡辺誠一郎
捕虫網円光ならず褪せにけり 増田 陽一
山姥とならず螢を見てをりぬ 久保 羯鼓
川あれば向う岸あり梅雨の蝶 日下 節子
箕を振う母を蕊とす麦埃 須﨑 敏之
何もない山村ですが蟬時雨 水戸 勇喜
蠅取リボン昭和の御代を忘れけり 八島 岳洋
まくなぎに囲まれてより老けにけり 柳 正子
道隠し根の国隠し草いきれ 佐藤 茉
綿津見にミカドアゲハを奉る 蘇武 啓子
山祇の烏揚羽を翔たせけり 植木 國夫
川音は真昼の暗さ葛の花 鯉沼 桂子
原子炉に原子炉時間蟬の穴 江原 文
ふるふるとゼリーぶるぶるとオスプレイ 神作 仁子
米軍のヘリの映れる蝌蚪の池 中村 春
妻在らず穂麦に架かる尿の音 野田青玲子
鉄風鈴またも原発再稼働 平山 北舟
ムックリは山霊の声夕焼くる 大河原真青
海原は大きな器ソーダ水 千葉 百代
麦茶ごくんごくんと後期高齢者 横田 悦子
夏の月コロナの地球照らしおり 岡村 直子
思ひつめて漕げばふらここ月に着く 小田島 渚
螢火の胸かけめぐり不眠症 阿部 貴美
恋をしてプールの空の広くなる 千葉 和珠
|
パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
copyright(C) kogumaza All rights reserved
|
|