小熊座 句 集
 天球儀  春日石疼
      


朔出版
定価 2200円+税

    
 『天球儀』    春日石疼


 春日石疼(かすが・せきとう) 本名  良之

 昭和29年  大阪市生まれ
 昭和57年  福島市へ転居
 平成13年  「鬼の団欒」(50句)にて福島県文学賞奨励賞受賞
 平成14年  曠野賞受賞
 平成24年  「樹」(50句)にて福島県文学賞正賞受賞
 平成25年  「小熊座」同人
 平成26年  「小熊座」福島句会「翅の会」代表世話人
        現代俳句協会会員

 


  高野ムツオ 帯(序)より


   本集の句は、人の命を凝視する仕事に携わってきた者のみが言葉

  で掬い上げることができる世界だ。一句一句の解説は不要。その沈

  黙に耳を傾け、混沌へまなざしを向け、人間を含めた森羅万象と、

  そして作者と息づかいを合わせればよい。



   
高野ムツオ 十二句選


  ひとすぢの(ほと)さびしけれ峡の雪

  老人の眼から禾出で豊の秋


  枝高く鳥の巣現れて冬来る

  墓踏んでげんげ田踏んで墓の前


  
縞蛇の何故ここで死ぬ冬田道

  ふらここや聞こえぬやうに厭戦歌


  累々とある筈の死や虫の闇

  水のごとき球体として椋鳥一群

  点されし原子炉煮ゆる泥鰌鍋

  羊水の記憶なけれど水母浮く

  鳥の道空に見えねど葛の花

  原発と野壺とありて草萌ゆる





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