小熊座 句 集
 囀の器  中井洋子
      


ふらんす堂
定価 2600円+税

    
 『囀の器』    中井洋子


 中井洋子(なかい・ようこ)

 1941年    栃木県生まれ
 1960年頃   石田よし宏(当時「風」同人)の勧めで作句を始める
 1985年   「風」 「鷹」を経て「小熊座」入会
 1986年   「小熊座」同人
 2000年   「地祷圏」創刊同人

 現 在     「小熊座」同人 「地祷圏」編集長
          栃木県現代俳句協会副会長兼幹事長
          栃木県俳句作家協会会員
          日本現代詩歌文学館振興会評議員

 


  シリウスに耳がもつとも繋がりぬ


   言葉を五七五の空間に自分の感覚のみを頼りにできるだけ遠方

  へと放つ。そして、その言葉と互いに引っ張り合う。その緊張感の

  中に新しい世界を創造する。

                   高野ムツオ 帯(序)より 




   
高野ムツオ 十句


  三寸の麦へ還りしベレー帽

  プール出て水の光に寄りかかる


  シリウスに耳がもつとも繋がりぬ

  春の昼泡は一つになりたがる

  空瓶となる音を吐く朧の夜


  夏雲や鉄路の石として圧さる


  この世にて足るものの無し月夜茸


  迎火のかたむいてゐて旺んなり

  睡蓮を身籠りさうで立ち上がる

  自転車に虹の空気を入れてやる






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