小 熊 座 2024/10    №473 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る



     2024/10   №473   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    鬼房のちびた鉛筆月を待つ            渡辺誠一郎

    山羊の目の冥く息づく白露かな          川口 真理

    絶食後の白湯に蕩ける裸身かな         髙橋 彩子

    かなかなのこゑの浸みこむ厨水          日下 節子

    砂濡らし砂に沁みゆく水海月            松岡 百恵

    干し網の端がずれ落つ日雷            山田 桃晃

    来月の分までカンナ枯れてゐる          津髙里永子

    熊蟬の祈りの尿や爆心地              植木 國夫

    納骨の日傘それぞれ華やぎて           郡山やゑ子

    山脈は海から隆起天高し              龍  太一

    彼岸にも人垣うまれ揚花火             大久保和子

    烏瓜の花暮れ方の来訪者             水戸 勇喜

    美しい鰭すぐ消える金魚玉             髙橋  薫

    ソーダ水相思相愛など知らぬ            蘇武 啓子

    虫の声より離れゆく熱気球             一関なつみ

    クレヨンの青みつからず流れ星          神野礼モン

    白桃の己が重さに腐り出す             宗像眞知子

    海の日の海の欠片のシーグラス          杉  美春

    かなかなやもうすぐ樅の木に朝日         佐藤 みね

    朝顔の青まで同じ分譲地              檜野美果子

    岩は松松は雲生み夏の山              阿部ゑみ子

    生きてゐる眼やゴキブリホイホイ裡        馬場 小零

    なめくじになれば入口みつかるか         小野 道子

    みづうみといふ望月の器かな            羊   洵

    芋の露奔れる須臾のひかりかな          幸田  晋





パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved