小 熊 座 2025/2    №477 当月佳作抄
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     2025/2   №477   当月佳作抄

                             ムツオ推薦


    年を経し湯手の糸瓜と虎落笛           増田 陽一

    来る世もきつと仮の世シクラメン          中井 洋子

    冬の虹あれは人魚の吐息です           土屋 遊蛍

    小春日や妣が来ぬかと湯を沸かす        日下 節子

    学校で飼つてた兎のやうな雲            関根 かな

    成仏のできぬ原子炉山茶花散る          髙市  宏

    わが背中人には見えて黄落期           鯉沼 桂子

    テント仕舞ふ冬空のまた青くなる          𠮷野 秀彦

    風呂に峡の草の実われも峡のからだ       山本  勲

    戦争で死ぬといふこと息白し             大久保和子

    配線がムズムズすると枯欅             田村 慶子

    冬の滝金剛杖の置き去りに             斉藤 雅子

    落としても落ちない化粧雪女郎           佐藤  茉

    小春日や縄文土器の蛇頭              上田由美子

    柚湯して夜の深さを楽しめり             澤海由貴子

    ひさかたの光あつめてマダムジュジュ       遅沢いづみ

    着ぶくれてスーツケースを股挟み          佐川 盟子

    冬の夜の街の一部となり綺羅綺羅         千葉 和珠

    虎落笛目だけ動きぬ黄泉の父            須藤  結

    狼の子守唄なり那須颪                丹羽 裕子

    闇汁を食ひても一人子を成すか           竹中美千代

    肌から溶け紅梅となる雪の精            𠮷野 和夫

    白波の白の暗さや越に冬               長谷川克史

    帰り花水色に空凍ててゆき              木野 紗彩

    もうもうと湯気吸ふ闇や鯨の死            羊   洵

    霜柱踏むとき少し背が伸びる            川名まこと

    その頭寝ぐせか流行りか凩か            黒河内玉枝

    みちのくの陵封にして猟師老ゆ           龍  太一





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