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2008年4月 当月佳作抄 ムツオ推薦
底なしの海見えてをり冬の雁 木村 えつ
初雲雀潮の匂いを曳きながら 小笠原弘子
雪の夜のおもちゃ箱から汽車が発つ 武田香津子
翅持ちて躓く冬のペリカンよ 増田 陽一
寒鴉真金の嘴をかち合はす 越高飛騨男
拍手を打ち梟の国に入る 土見敬志郎
わが影が鳥影となり水温む 山本 源
青空のおくの星空ひなまつり 佐々木とみ子
暗い所の暗い電球一の午 中井 洋子
鬼房の轍たどれば梟啼く 大澤 保子
彼の世まで見えているのか枇杷の花 千田 稲人
どの波も富士のかたちに春を待つ 佐藤 成之
月と風話が尽きぬまま氷柱 早乙女未知
わが頭蓋小楢の風のみかよふらし 吉本 宣子
建国日富士には煙突が似合ふ 津高里永子
わが深き眠りを蜷の過ぎるなり 渡部州麻子
空瓶を洗ひ寒晴容れてをく 森 黄耿
私の戦後の証人冬欅 相沢 ふさ
人日の遠潮騒の体かな 清水 智子
うねり来る潮の面に余寒あり 佐藤 みね
ほほゑみの音のしてゐる牡丹雪 秋山 笹舟
裸木の天辺いつも夢の中 宇津志勇三
鬼子母神角ぐむ蘆に日が戻る 伊澤二三子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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