小 熊 座 2008年7月 当月佳作抄
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   2008年7月   当月佳作抄   ムツオ推薦



  誘蛾灯悪霊の声借りにけり            木村 えつ

  桜しべ降るや昭和の肩口に            土見敬志郎
   
  うたふごと和賀仙人のぶな芽吹く         阿部 菁女
      (ぶなの漢字表記不能)

  われが我をはなれ即ち緑濃し           平松彌榮子

  悪玉御前悪とも見えず花あやめ         浜谷牧東子

  からだから声洩れてゐる春の暮         上野まさい

  潮満ちて夜の桜が怒涛なす            八島 岳洋

  逞しき蝿の群がる蘭丸忌             安藤つねお

  蕗の葉をかざしてみれば羽黒山         佐々木とみ子

  黄泉と云う見た事もなき花の果て        篠原  飄

  老桜マンモス隠れ立つ如し            俘 夷欄

  胸に花花に海原広がりぬ             大森 知子

  柿若葉地球病めるを知らぬ色          福原 栄子

  背ナの子は夢の中なり夕燕            永野 シン

  折紙のどこを折っても五月晴           阿部志美子

  気仙語のてふてふ花のうしろから       吉本 宣子

  中空のものともならず春の鞦韆         菅  邦子

  てのひらに何をのせよう夏の浜         松本 廉子

  蟻の国ことば以前の闇をもつ          高橋 正子

  訛声が風にぶつかり聖五月           高橋 昭子

  田の泥よりも濃い闇はなし聖五月       宇津志勇三

  一本の紐にはじまり花衣             三里 祐子

  鉈の刃に止まる夏蝶鑑真忌           曽我 春也

  どんくさき生き方なれど韮の花         高橋和か子

  ひとひらの羽ともなりぬ遠野焼         鯉沼 桂子

  金子みすゞを此岸に返せ花筏         安孫子 麟

  百年の櫟千年の鶴の声            塩見 恭子

  住み古りし川の匂ひに燕来る         半澤 房枝

  




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