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当月佳作抄 ムツオ推薦
喜雨待ってゐる墓原の光かな 田中 哲也
飛びさうな恐竜の骨遠夕焼 上野まさい
所詮こんなひと世であった夏葎 平松彌榮子
南風や恋したまへる山と山 渡部州麻子
合掌は木の葉のかたち星月夜 大澤 保子
栗の花匂ふ畸形の列島は 古山のぼる
豚は丸牛は四角にさみだるる 土屋 遊蛍
地獄の門にいにい蝉の声の底 増田 陽一
近よれば色はるかなり合歓の花 我妻 民雄
それぞれの正座なりたんぽぽ五本 白田喜代子
ひとりにも光はとどき星祭 佐藤きみこ
気の早い楽器のような夏の月 佐藤 成之
星涼し地球は宇宙のひとしずく 青野三重子
西日濃くなる自転車を漕ぐたびに 小笠原弘子
ダメ親父全巻梅雨の明けにけり 遅沢いづみ
十薬の花の声無き声を聞く 武田香津子
金欲しいとき噴水が眼前に 村山 半信
「ポツダム」とそのひと言の遠い夏 安藤つねお
鴨足草仏の影とすれ違ふ 山田 桃晃
麦の秋風の形の凹みかな 大野 黎子
霊歌のように風のあつまり新樹光 菅野 礼子
百物語背すぢ一人に一本づつ さがあとり
ラムネ玉転がすたびに星のこゑ 鯉沼 桂子
赤ん坊足で蹴ってる雲の峰 字津志勇三
砂山の向こうは海よ濃あじさい 柳尾 ミオ
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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