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当 月 佳 作 抄 ムツオ推薦
秋の風鈴戦を詠まず飢餓詠まず 越高飛騨男
しゃかりきという力あり秋夕焼 佐藤きみこ
秋風の末裔であり山の子は 土見敬志郎
従軍記読めば周りは草いきれ 菊地乙猪子
いづこにもはみ出たやうな秋日差 中井 洋子
夕焼に透くや純粋オリーブ油 津高里永子
ぼろ布のやうな豊かさ雪が降る 大澤 保子
我に立ちはだかるはわれ鶏頭花 山本 源
どの扉開いてみても黄落期 小笠原弘子
葛嵐われを巻き込む前九年 浜谷牧東子
生きるとは小道に躍る猫じゃらし 澤口 和子
廃線路途切れしところ豊の秋 渡辺 規翠
省略の効かぬ速さの秋の川 山崎 正子
溝蕎麦にわずかに残る無頼の血 土屋 遊蛍
羽根一枚落して行けり秋の風 阿部 流水
がまずみや南部訛りにふりむけば 大森 知子
悪友が刈田の匂いつれて来る 阿部志美子
蝗取り知らない村に来てゐたり 佐伯 秋
おほらかに湯気がもの言ふ衣被 白田喜代子
末期まで間のある癌と秋の暮 土屋 休丘
難しいことを易しく新松子 中鉢 陽子
思想など無くて行動根切虫 田中 満
ここに又戦没の墓水澄めり 田中 哲也
極楽の一丁目へと秋の風 丹野 禮子
四姉妹二人残りて曼珠沙華 加茂いつゑ
歯をみがく今朝には今朝の虫の声 菊地 恵輔
きちきちや草原は老いとどまらず 柳 正子
秋雨のぐずらもずらやさらし飴 蘇武 啓子
さみしいと尾が垂れますかえのころも 大西 陽
かまきりのどこをとってもまずそうな 金澤ひろあき
秋風に躓きそうな一日かな 紺野 リキ
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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