小 熊 座 2009年1月  当月佳作抄
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 2009年1月  当月佳作抄   ムツオ推薦


      
どこまでも人間であり冬木であり     上野まさい

名月や月に地球が昇りくる         阿部宗一郎

管玉の藍をつらねて冬北斗        阿部 菁女

一木は海神のためもみづれり       浪山 克彦

勲章にする子供居ず菊の花        菊地乙猪子

毒茸として照らさるる月夜かな       中井 洋子

牡蠣貝の襞は月光のさざなみ       松本 笹枝

碑面をすべる雨粒冬の鵙          佐藤きみこ

無為無策なれどよいしょと立つ夜長    平川よし美

遺すなら冬のすみれの匂ひなど     渡部州麻子

縄文の魂が飛ぶ雁が飛ぶ         俘 夷欄

土蜘妹の躙り口より秋の風        菊地 恵輔

白鳥の光のかけら十グラム        大野 黎子

角伐られ沖の遠雲見てゐたり      伊藤 杜夫

星を数えながら冬瓜買いに行く     山野井朝香

還り来る古新聞のやうな鮭        伊藤 晴子

胎動はしろがねの鐘冬日和       松岡 百恵

帰り花花盗人もかへりなん        さがあとり

冬麓の裏側暗し怒涛音          柳  正子

秋風の話は母のことばかり        秋元 幸治

日失浴びる冬青草を眦に         澤邊 美穂

冬ざれの逆光の沼冥府なり        福原 栄子

保食神に草の実賜りぬ          高橋 昭子

浴びるほど木の実降る頃還らざる    鯉沼 桂子

冬紅葉大声明を浴びてをり        田村 慶子

小春日の墓の三鬼をたずねけり     根本ケイ子

初雁の行き着く沼を思ひをり       安海 信幸





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