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2009/4 bQ87 当月佳作抄
ムツオ推薦
かくれわざ鴉に無くて春時雨 木村 えつ
春光をまとふわたしは見えぬ筈 森 黄耿
寒に入る幾千万の寒の字に 越高飛騨男
蛸壷を百日干して犬ふぐり 渡辺 規翠
ほうぼうの胸びれのごと寒月光(ほうぼうは漢字) 大澤 保子
塒なぞ幾らもあると寒鴉 阿部 流水
寒椿みごとに老いてゐたりけり 高橋 彩子
金鶏の鳴きこぼしたる福寿草 澤口 和子
土よりの声とも思ふ竜の玉 吉本 宣子
春一番海辺の街を片寄せて 武田香津子
空っぽの壷に潮騒夕茅花 小笠原弘子
わが影に水仙会話中止せり 山本 源
接吻(くちづけ)をしたき青空福寿草 古山のぼる
しずり雪彼の世の扉いま開いた 松岡 百恵
いぬふぐり一面ヨイトマケの唄 大森 知子
糠雨に誘い出されし芽水仙 遠藤のぶ子
火葬場の窯ひらく音オリオン座 八烏 岳洋
天国を地図にて探す桜餅 山崎 正子
一日は無数の繊維冬の雨 矢本 大雪
鞦韆の空に消えたき軋みかな 大西 陽
凍蝶に血の匂いありみちのおく 澤邊 美穂
雪雫胸の閊のとれるまで 村田斐路子
春嵐男体山の生まれなり 古川 修治
冬探し木々の数だけ木のたましひ 柳 正子
風呂敷に包む夕陽の重かりし 川野 欣一
児捨川春の時雨を誘い込み 永野 シン
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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