小 熊 座 2009/5 bQ88 当月佳作抄
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     2009/8 bQ91  当月佳作抄
  
                                   ムツオ推薦

          
 六月や翅の音して封書来る              木村 えつ

 動き出しさうな甜瓜かたわらに            上野 まさい

 夕焼やいづこまで伸ぶすべり台           平松 彌榮子

 十薬や生きていし母死にし母            千田 稲人

 埋葬という夏空の忘れ方  
                   矢本 大雪

 水音の生みし日の斑や行々子           土見 敬志郎

 鵺鳴きしことはさておき美容液            津高 里永子

 やませ吹く呂律まわらぬ程生きて          古山 のぼる

 たましひも雲の一刷毛青みどろ           渡辺 規翠

 磯巾着胸の奥処をふるわせて            土屋 遊蛍

 虹色に濡るる馬体やえごの花             田中 哲也

 薫風に立てば帆柱めく身かな            渡部 州麻子

 虹架ける如きおしゃべり電話かな          佐伯 秋

 ものの芽のなんて正直歌い出す            安達 幸子

 浜豌豆波の奥から夜が来る              小笠原 弘子

 迷い鯨ここは地球の上っつら            畠 淑子

 絶滅を擦りぬけ昇る雪加の声            土屋 休丘

 鉄線花村上春樹など読まぬ             松岡 百恵

 アフリカの闇うづくまる雨の檻             浪山 克彦

 朦朧とバス待つ乱杭の様に              篠原 飄

 父の老いうとまし浦島草のひげ            相沢 ふさ

 銀蠅に虹の匂いや雨上り               武田 香津子

 ばらの棘の固まり帯状疱疹は             大野 黎子

 たましいの一つに泰山木の花             清水 智子

 額の花やはり地球はさみしいか            吉野 秀彦

 満月の夜へ銀蠅送り出す               柳尾 ミオ

 ぞうさんのまなこ緑雨の中にあり           日下 節子

 やけっぱち全部棄てれば梅雨の虹          福原 栄子

 六月やかの竜宮へみちしるべ             柳 正子

 頬杖を解く蜘蛛の囲はまだ未完            大和田 節子

  
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