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2009/8 bQ91 当月佳作抄
ムツオ推薦
六月や翅の音して封書来る 木村 えつ
動き出しさうな甜瓜かたわらに 上野 まさい
夕焼やいづこまで伸ぶすべり台 平松 彌榮子
十薬や生きていし母死にし母 千田 稲人
埋葬という夏空の忘れ方 矢本 大雪
水音の生みし日の斑や行々子 土見 敬志郎
鵺鳴きしことはさておき美容液 津高 里永子
やませ吹く呂律まわらぬ程生きて 古山 のぼる
たましひも雲の一刷毛青みどろ 渡辺 規翠
磯巾着胸の奥処をふるわせて 土屋 遊蛍
虹色に濡るる馬体やえごの花 田中 哲也
薫風に立てば帆柱めく身かな 渡部 州麻子
虹架ける如きおしゃべり電話かな 佐伯 秋
ものの芽のなんて正直歌い出す 安達 幸子
浜豌豆波の奥から夜が来る 小笠原 弘子
迷い鯨ここは地球の上っつら 畠 淑子
絶滅を擦りぬけ昇る雪加の声 土屋 休丘
鉄線花村上春樹など読まぬ 松岡 百恵
アフリカの闇うづくまる雨の檻 浪山 克彦
朦朧とバス待つ乱杭の様に 篠原 飄
父の老いうとまし浦島草のひげ 相沢 ふさ
銀蠅に虹の匂いや雨上り 武田 香津子
ばらの棘の固まり帯状疱疹は 大野 黎子
たましいの一つに泰山木の花 清水 智子
額の花やはり地球はさみしいか 吉野 秀彦
満月の夜へ銀蠅送り出す 柳尾 ミオ
ぞうさんのまなこ緑雨の中にあり 日下 節子
やけっぱち全部棄てれば梅雨の虹 福原 栄子
六月やかの竜宮へみちしるべ 柳 正子
頬杖を解く蜘蛛の囲はまだ未完 大和田 節子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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