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2009/9 bQ92 当月佳作抄
ムツオ推薦
梅雨雀戸となり家出る日 越高 飛騨男
チョモランマ知ってゐるのか羽抜鶏 渡辺 規翠
マルセーユ石鹸からの蜩か 浪山 克彦
魂はかたちを持たず竹落葉 小笠原 弘子
水底は百尾の鯉の緑夜なり 土見 敬志郎
猫の子の早や名前もて呼ばれゐし 佐伯 秋
片虹のそれも大虹川の杭 森 黄耿
戦前に終りし昭和蝉時雨 増田 陽一
わたすげは少年兵のようにとぶ 佐々木 とみ子
毎日が梅雨茸ですが元気です 武田 香津子
この世からはみ出している凌霄花 阿部 流水
ほぐれつつ光吐きけり水中花 土屋 遊蛍
咲き継ぐは語り継ぐこと百日紅 我妻 民雄
黒南風が足にマイケルジャクソン死す 津高 里永子
氷片を舌に溶きつつ薔薇のそば 大澤 保子
夏の空赤子の顔に丘また丘 松岡 百恵
白南風や墓場の下に駅がある 大場 鬼奴多
睡りゐる山姥十三の土塊なり 吉本 宣子
噴水は翳をもたずに立ちあがる 渡辺 智賀
仕草まで父似の少女蠅を打つ 阿部 志美子
万の葉の一揆となりてやませ吹く 吉野 秀彦
ほの暗き骨のままにて鷺発てり 鯉沼 桂子
青蔦の窓が記憶の出入口 田中 麻衣
光りおり昨日の嘘と蛇の衣 澤邉 美穂
炎天のカンカン虫やその昔 岡本 日出男
もしかして万緑は海鳶一羽 宇津志 勇三
心太妖怪の住む沼のごと 吉川 修治
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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