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2009/10 bQ93 当月佳作抄
ムツオ推薦
鬣は牛にはあらず大夕焼け 千田 稲人
生きのびてもの食う音と梅雨のおと 佐々木 とみ子
はじまりは馬の尾さばき秋の風 平松 彌榮子
八月のまわりの死者のなかに老ゆ 越高 飛騨男
むかさりや五万の黒き蝶の翅 阿部 菁女
幻になりそこねたる蝉の殻 中井 洋子
白桃の尻うつくしき御仏前 八島 岳洋
水引草気配を花にしてゐたり 我妻 民雄
毛の国の一番奥に樗の実 山野井 朝香
朝顔の双葉となりし頃被爆 高橋 正子
みちのくへ舌伸ばしくる梅雨末期 阿部 流水
雨虎になりたての身に梅雨長し 矢本 大雪
たなばたの阿武隈川に舟出待つ 佐伯 秋
峡の霧一塊寝言の如くあり 平川 よし美
広島の川面瞬く原爆忌 足立 みつお
反乱など聞いた事なし蟻の国 岩井 タカ
夏霧に梢となりて身を入れし 郡山 やゑ子
夕立の柱をのぼる昭和かな 伊東 卓
耳順とは洗いざらしの木綿なり 丸山 みづほ
現世に蟹葉サボテン咲き出しぬ 安海 信幸
この悩み秋の空なら溶かせそう 福原 栄子
青空がこわいと思う原爆忌 中鉢 陽子
太刀魚の真上の空の青いこと 有馬 周
ふところに緑陰ありてサガン読む 清水 智子
かつて色町鬱金の月ののぼりけり 大和田 節子
じゃがいもの花を花とし水仕事 菅原 みよ子
蚊帳吊ればさざ波がわきわれは魚 佐藤 みね
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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