小 熊 座 2010/1  №296 当月佳作抄
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     2010/1  №296  当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    芋の皮大根の皮冬に入る                  阿部菁女

    表札を掛けるとすれば冬桜             浪山 克彦

    寝かされた子の目のような金目鯛             佐々木とみ子

    レールごと錆びし生国冬に入る               木村 えつ

    葬送の曲のなかから小鳥来る                沢木 美子

    山茶花の虻蜂に今あるばかり                古山のぼる

    かんな屑うすきんいろに冬晴るる               渡部州麻子

    短日の時刻表にはなき列車                 山田 桃晃

    瀬頭に星の冷えあり野紺菊                 佐藤きみこ

    千仞の谷へしゆるしゆる柿の皮              大澤 保子

    実石榴は見落しの詩のごとぎかな             中井 洋子

    鉄橋に翼あらぱと雪を待つ                 上野まさい

    冬の水足音という見えぬもの                小笠原弘子

    木枯の金精様へ潮飛沫                   大森 知子

    セーターは虹の中なるすみれ色               相沢 ふさ

    鳥の水尾二重に三重に冬隣                 澤口 和子

    白露や獣らはみな地を這いて                渡辺誠一郎

    桃啜る生まれた朝の顔をして                 佐藤 成之

    山茶花や優しき眼もて小突かれし 
悼茂甚氏         佐伯  秋

    青空が広し落栗蹴つてより                   日下 節子

    ストーンサークル凍土の歯牙として              中村  春

    出涸らしのお茶の葉にある小春かな             小林  檀

    逝く人は額を上げぬ冬の原                  伊東  卓

    白鳥はいつも胸張り飛んで老ゆ               竹中  華

    橡の木の辺りもっとも秋曰和                 田中 麻衣

    空からの便りを待てり冬の草                 澤邉 美穂

    針塚に朝日が差して針供養                 中鉢陽子

    きのふより影の濃くなり冬すみれ              伊藤晴子




  
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