小 熊 座 2010/2  №297 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る










  
                            
     2010/2  №297  当月佳作抄

                                      ムツオ推薦



     墓標とも冬の背高泡立草                  大澤 保子

     アルカイックスマイル冬の水靨               佐藤きみこ

     白鳥の居るとも云へず蔵の中               中井 洋子

     極月のこぼれ話と玉子焼                  古山のぼる

     まぼろしで良かりし雪を纏ふ富士              関根 かな

     虹色の土鳩の首根去年今年                我妻 民雄

     綿虫と横光利一の眼鏡かな                 阿部 菁女

     婆一人分の日溜り石蕗の花                 土屋 遊蛍

     レノンの忌地下鉄に乗り雲に乗る             佐藤 成之

     缶切りのこきこきめぐる冬の底               小笠原弘子

     葉牡丹に潮の香あふれ診療所               澤口 和子

     昇降機オリオン座まで昇ろうか               千田 稲人

     難破船めいて家ある冬青空                 渡部州麻子

     山茶花の百輪風切羽もてり                 吉本 宣子

     冬に入る水系縷縷と南部領                 野田青玲子

     地を掴み風に食い付く冬の蝶                冨所 大輔

     冬の海鳴れば貝殻骨応ず                  矢本 大雪

     虎落笛そんなに沖が恋しいか                武田香津子

     小春日和死に近ずくを忘れおり               岩井 タカ

     冬霧の山の頂消し忘れ                    松本 廉子

     背中より冬木の温み伝わりぬ                佐藤 みね

     笹鳴や大共和国古びたる                  大場鬼奴多

     陽の力溜っていたる冬田かな                牛丸 幸彦

     枯荻となりて吟遊詩人待つ                  渡邊 氣帝

     かまど猫夢は光速宇宙船                  永野 シン

     暗闇に指先触れて陸奥の冬                 伊東  卓

     冬銀河吃水線まで押し寄せる                鈴木須美子




  
パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved