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2010/5 №300 当月佳作抄
ムツオ推薦
飢餓の子の指にふれきし初蝶か 佐藤きみこ
愛に生きなむ野火が裾野を越えたれば 吉野 和夫
人よりも精霊多し木の芽山 小笠原弘子
春愁という名の蛇行最上川 佐竹 伸一
鳥雲に入るMの字にNの字に 我妻 民雄
初蝶の影が障子を抜けてくる 古山のぼる
蟾蜍共に生きよと穴を出づ 山田 桃晃
振り返る百年前の桜かと 上野まさい
卓袱台に青空の影蜆汁 大森 知子
春の雪つばさになれぬ腕伸ばす 渡部州麻子
クレーン車をふはと乗せたる霜柱 八島 岳洋
湯たんぽのぬくもりのこる誕生日 菊地 巴洸
未来とは決して来ぬ明日月朧 むらたつひこ
夜桜や水子にもある誕生日 大西 陽
霾や地球の言語ひとつ消え 春日 石疼
壺焼きのぷくぷくあれが初デート 永野 シン
水菜茹で吾もわずかに透き通る 田村 慶子
一自転二十四時間ヒヤシンス さがあとり
擂り鉢より寒上り来る京都なり 内薗日出杜
永き日の原爆ドーム鷺よぎる 中村 春
春愁の檸檬しなびて仕舞ひけり 田中 麻衣
些事となる死は人になし熊の餓死 土屋 休丘
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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