小 熊 座 2011/1   №308 当月佳作抄
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     2011/1  №308   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    

    冬に入る根あがり松と濤ごろし        浜谷牧東子

    十二月海の藻屑が立ち上る          古山のぼる

    初雪のことに魔鬼山屹立す          八島 岳洋

    雷鳥も冬に入るころ粥を吹く          佐々木とみ子

    物差しの端からはしへ雁渡る         矢本 大雪

    愛は無音野飼いの牛に冬の雨        大森 知子

    飛行機は羽撃きしらず小六月         松岡 百恵

    人間はしっぽ無いから風邪をひく       福原 栄子

    白はより白く干されて冬に入る        菊地 恵輔

    一気とは恐ろしきこと銀杏散る        永野 シン

    それぞれに影持ち枯れし鳥・花・けもの   菅  邦子

    煙突はいまだ毒吐き秋の雨          秋元 幸治

    着ぶくれて時どき見せる鉄火ぶり       阿部志美子

    彼の町の彼の古本屋かじけ猫        さがあとり

    母逝くを母には告げず吾亦紅         春日 石疼

    どこにでも老人のゐる小六月         畠  淑子

    どの歌碑も海の声棲む冬木の芽       秋山 笹舟

    水鳥や億年の崖億年の川           松本ちひろ

    梵鐘が刈田の匂い運び来る          佐藤 みね

    秋闌けてもとの一人となりにけり       紺野 リキ

    黄落や日々新なる吹き溜り          池田 紀子


  

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