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2011/2 №309 当月佳作抄
ムツオ推薦
第九交響楽冬の蠅光るまで 増田 陽一
天上より延び来たる道お茶の花 中井 洋子
仮の世に何充ちて葉の降りはじむ 平松彌榮子
押しくらまんじゅう押されて泣いて戦死せり 越髙飛驒男
自動ドアいくつ潜れどみな枯木 千田 稲人
詩を生むに榠櫨数個があれば足る 古山のぼる
散り際のわけても自在冬紅葉 柳 正子
男体山を入れて縄飛び君恋し 遅沢いづみ
木の櫛で梳く雪雲のきりもなし 佐々木とみ子
鮭騒ぐ佐々木更三生誕地 平川よし美
振り向かぬものに秋風今井聖 佐藤 成之
十二月八日わすれたやうな海 浜谷牧東子
地続きに夜と昼あり返り花 矢本 大雪
ジングルベル生まれ落ちたる牛の子に 佐藤きみこ
この星のけものとしての息白 鯉沼 桂子
山は山木は木のかたち秋の暮 日下 節子
そうは言っても明日は来るさ零余子飯 斉藤 雅子
瞬きのような声してレノンの忌 伊東 卓
潮騒に段畑の葱折れつくす 半澤 房枝
綿虫のよく湧く日なり祖母となる 伊澤二三子
隣席は山男なり冬薔薇 永野 シン
空は紺碧妣から喪中葉書来る 畠 淑子
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