小 熊 座 2011/4   №311 当月佳作抄
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     2011/4  №311   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    龍の玉没日は痛きまで澄めり         大澤 保子

    棒状に凍てしタオルや自在とは        阿部 流水

    雪解光汲んで貧乏徳利かな          阿部 菁女

    はらわたを日塗れにして鵙の贄        佐藤きみこ

    自らを凍らせドストエフスキー          小野  豊

    遺失物から凍鶴のこゑ微か          髙橋 彩子

    寒鯉の口中ふかく陸奥の国          矢本 大雪

    狼の鎮魂碑なり星々は             水戸 勇喜

    降りるべき駅来て降りる春の暮        津髙里永子

    産土神の鈴のひびきか牡丹雪         山田 桃晃

    霰降る旗行列のあの音の            平川よし美

    春めきし墓場の果てにラブホテル       遅沢いづみ

    散り際に呟くと言う寒牡丹            神野礼モン

    母親になると知った日葱の花          中鉢 陽子

    ごそごそと魚籠の底なる余寒かな       大場鬼奴多

    その日からありし日となる冬の月        鯉沼 桂子

    マンモスの骨みしみしと寒気団         篠原  飄

    留守番や春めく雲に呼びかけて        岩井 タカ

    夕星や薄氷ゆがみつつ生るる         佐藤 みね

    あまりにも夜空が広い不器男の忌       関根 かな

    縞蛇の何故ここで死す冬田道         春日 石疼

    雪の上に雪降り重ね雪暮し           板垣  茂

    枯蓮の影のジグザグ明日がある       太田サチコ

    父の忌の垂氷のひかる庇かな        伊澤二三子

    薄氷や夢を見ているような川         宇津志勇三

    雪解の村に雀の空がある           宮崎  哲



  

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