小 熊 座 2011/7   №314 当月佳作抄
TOPへ戻る  INDEXへ戻る






       2011/7  №314   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦


    牛の額いくつも光り桃は実に        増田陽一   

    死者を呼びいつしか空へ草の絮       越髙飛驒男

    青虫も我も母から生まれ来し         上野まさい

    捨てられた神とほこらと姥ざくら        阿部宗一郎   

    いま展翅始めたところ山法師         我妻 民雄  

    金蝿の転々動く淋しさよ            柳  正子

    遠浅のごとき朝寝や働かざる         須崎敏之

    宵の夢にとろけてしまうあめ細工       沢木美子

    河馬死せり春の大地震知らずして     千田 稲人

    さくら貝ほどの記憶を縁とす          松岡 百恵

    遺影満つる空たんぽぽの絮飛ばす     阿部流水

    夏燕過疎と呼ばれて息詰る          水戸勇喜  

    一本の松の残りて松の芯           さがあとり          

    逝く時は紫雲英で足を染めたしよ      篠原  飄  

    春夕焼け路地ことごとく泥を呑み      伊東 卓

    葉桜の葉音聞き入る畑の塚          大友セツノ

    霾や新幹線の鼻っぱし             田村慶子

    新緑の幅になりけり我が窓は         宇津志勇三

    卯浪寄す大津波など忘れよと         岡本日出男

    藤の棚クレーンゆつくり顔を出す       瀬古篤子

    レコードに波あまたあり夏の月        蘇武啓子

    若葉して膝立てなおす百羅漢        おとはすみ子



  

パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
  copyright(C) kogumaza All rights reserved