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2011/10 №317 当月佳作抄
ムツオ推薦
石鏃の飛んで来さうな日の盛り 土見敬志郎
色即是空しきそくぜくう汗垂らし 佐々木とみ子
蟬声は腹から八月十五日 我妻 民雄
どこにでも降る放射線風死せり 八島 岳洋
金色の金にあらざる陸奥の秋 大場鬼奴多
貧者なり大夕立の直下なり 篠原 飄
樹脂噴いて待ちをり夜の被曝の木 浪山 克彦
蘆茂る今生靡き通すため さがあとり
人に喩へられたくないと向日葵は 中井 洋子
白鷺の翼記憶の大津波 武田香津子
夏草があり夏草という時間 佐藤 成之
カンナ真っ赤戦後はここから始まる 畠 淑子
玉音はかき氷屋の旗の下 安藤つねお
「あたい」という着ぐるみを脱ぐ炎天下 沢木 美子
蠅叩き置き去りにして母逝けり 秋元 幸治
撫子が手帳の隅に咲いてゐし 郡山やゑ子
配線のこんがらがって夏の果 田中 麻衣
雷光の記憶の奥に津波あり 佐藤 みね
生き残る者ら何せん秋の雷 佐藤 レイ
炎天の砂原遺書の書き出しは 渡邊 氣帝
八日目の蟬の沈黙油照 大久保和子
白南風や海の見えない窓なれど 松岡 百恵
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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