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2012/3 №322 当月佳作抄
ムツオ推薦
鮟鱇が剝れつつ見る街あかり 増田 陽一
鰡のごとつばさを休め春を待つ 浜谷牧東子
蛸壺の口傾けて春を待つ 渡辺 規翠
寒の鯉今以てパリは燃えてゐる 大場鬼奴多
母を待つ寒夕焼の端つこに 浪山 克彦
初烏透けゐて空の深さかな 青野三重子
最果てを光としたり初明り 冨所 大輔
津軽山唄雪にもありし力瘤 吉本 宣子
漂泊を思えば冬木陽の音す 清水 智子
レンガ積むごとき思い出クリスマス 佐藤 成之
捨てるもの捨て冬草の青さかな 秋元 幸治
手のひらに十一日に降る雪を 関根 かな
らいてうの言葉で始む初日記 蘇武 啓子
明日ありと夕焼けており牡蠣の湾 佐藤きみこ
誰がこれを女郎と名付く雪女 阿部宗一郎
着膨れて此の世せましと思い居り 遠藤のぶ子
亡き児等の風に囁く聖樹かな 菊地 巴洸
戦死者の累累雪の金色堂 俘 夷蘭
氷点のおおお牧場は放射能 遅沢いづみ
昼月の鱗がこぼれ冬桜 土屋 遊蛍
初景色塩水の田も休み田も 水戸 勇喜
わが道を行けよ行けよと慈姑の芽 森田 倫子
あらたまの雪に目鼻を差し出せり 瀬古 篤子
見上げれば眼の底に積もる雪 内山かおる
誕生日荒星一つ額に嵌め 長屋 登
飼い葉桶星の数ほど星あふれ 黒木 輝峰
十二月八日今年も朝寝して 岡田 明子
着膨れて成田闘争頃のこと 四戸美佐子
獅子舞の歯並綺羅きら税重し 畠 淑子
閖上の光集めて氷面鏡 丸山みづほ
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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