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2012/6 №325 当月佳作抄
ムツオ推薦
囀をかぶりいのちに老若無し 古山のぼる
口寄せや春の沖より火皿貝 佐々木とみ子
水草生ふ古道はなべていくさみち 阿部 菁女
松の根の隆隆とあり猫の恋 中井 洋子
白梅や光は闇にこそ生まる 阿部 流水
春の昼眠れば骨も眠るなり 上野まさい
わだなかへ面伏せゆく流し雛 大澤 保子
海底も地底も無音桜咲く 山田 桃晃
さくら餅はたち柏餅知命 森 黄耿
孔雀鳩雀焼鳥花曇 遅沢いづみ
あの白き小さな花が牛殺し 我妻 民雄
抜かれゆく草にも朝の力あり 青野三重子
厩出し待つ間の牛の眼かな 日下 節子
国防という色のあり山桜 土屋 遊蛍
丸見えの午後の水底春愁 鯉沼 桂子
鳥籠の中の太陽麦の秋 佐藤きみこ
半眼のさくらさくらと思ひたる 吉本 宣子
麦青む頃みちのくの闇の濃し 澤口 和子
修羅の炎を消せぬ海原花の夜 吉本みよ子
行く春の鳥の目魚の目に瓦礫 松岡 百恵
太古より川は流れて猫柳 八島 岳洋
たんぽぽの絮吹く子等も村もなし 阿部宗一郎
霞草水が涸れても霞草 田中 麻衣
鉛筆に森の匂いや夏初め 清水 智子
遅き日は鼻の頭に溜まりけり 宇津志勇三
天命知命救命一命春霞 水月 りの
原点はわが血潮なり藪椿 大久保和子
桜散る内なる海を展きつつ 佐藤 茉
うぐひすや心は被曝してをらず 花房 幸道
病むといふことは休息冬の薔薇 尾形 昭子
野分前海にも山あり谷もある 内薗日出杜
春の雷黒い真珠のネックレス 斎藤真里子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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