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2013/6 №337 当月佳作抄
ムツオ推薦
手をひろげ北国の春これくらい 佐々木とみ子
覗き見も花見のひとつ車椅子 平松彌榮子
最終の空気吸うとき山桜 篠原 飄
余白とは囀りのとどかぬところ 小笠原弘子
囀りを容れてまるまる四百字 中井 洋子
臥してゐても句ができ友来さくら咲く 古山のぼる
災あれば災に寄り添い磯巾着 俘 夷蘭
夕桜ひとひらごとに死を語る 浪山 克彦
花冷や柩並びし日の記憶 阿部 流水
生き死にやまづ鉄壁の畦を塗る 水戸 勇喜
雀の鉄砲よりみちのく始まれり 吉本 宣子
束ねれば吾とは百の春の川 矢本 大雪
湧水の影立ちあがる春の昼 佐藤 みね
生まれざるままの死のあり涅槃絵図 小野 豊
眼裏に花の万蕾雨の膳 大久保和子
空深し山なほ深し桃の花 日下 節子
陽炎の慟哭のみが消え去らず 宮崎 哲
花冷の波立ちあがる仁王島 太田サチコ
うつし世の枝垂桜が姿見に 斉藤 雅子
野面にて春の日の矢にけつまづく 菊地 恵輔
ヤドカリの宿ごと売られ海遠し 森田 倫子
散る桜解けし修羅の影ばかり 渡辺誠一郎
白魚はしろがね色の涙溜め 吉本みよ子
闇に散る桜は闇のものとせよ 布田三保子
花辛夷遠山神の名を持てり 平山 北舟
大空は亡き人のため初桜 斎藤真里子
桜散る洗濯板の波の上 川端 晶子
ふらここや世界の終わりは日曜日 千田 彩花
見つめねばみな消えさうな春の星 棟方 礼子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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