小 熊 座 2013/8   №339 当月佳作抄
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     2013/8  №339   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    死なば土くれ山のかたちに雲の峰           上野まさい

    赤坂乃木坂薄闇のあやめかな             増田 陽一

    わが恙ふうせんかずら窓に伸び             平松彌榮子

    絮になりきって白茅の風の中              佐藤きみこ

    水海月国の初めの色に透く               阿部 菁女

    夜は夜の生き物として葉桜                中井 洋子

    飛ぶ支度してゐて飛べぬ燕子花            郡山やゑ子

    大南風琥珀の中の虫目覚む               澤口 和子

    水といふ暗中出でて河骨に                我妻 民雄

    長生きの孝行もあり夜の蟬                古山のぼる

    イカロスの翼なれども風薫る               渡邊 氣帝

    若葉あれは我ら蝦夷ぞ光るなり             篠原  飄

    耳雑談ぺんぺん草の群がりは              平川よし美

    あって無い町がふるさとつばくらめ            武田香津子

    揺れまいとして揺れてをり崖の百合           小野  豊

    絆という網は何色南瓜蔓                  阿部宗一郎

    ががんぼの脚を組み立てをるところ          吉本 宣子

    麦秋やわが来し方の波寄せる              髙橋 森衛

    蟻塚を跨いで帰れ故郷は                 千田 彩花

    一周忌の座蒲団座している西日             千倉 由穂

    万緑や山という山胸を張り                 瀬川 亨子

    新樹揺れ止まず青春さながらに              長尾  登

    波音が言魂となり沖縄忌                  神作 仁子

    入水する目に紫陽花は映りしか              布田三保子

    病葉や今は光の盛りなり                  林   哲



  

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