小 熊 座 2014/1   №344 当月佳作抄
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     2014/1  №344   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    水平線に水の力や鳥渡る                   上野まさい

    稲妻に稲妻重ね父の国                    土見敬志郎

    みの虫は鬼の子というみんな鬼                佐々木とみ子

    おしまいのこおろぎの如覚め居る               須﨑 敏之

    かまつかに分厚き雨の音となる                大澤 保子

    深すぎる空だが林檎には似合う                武田香津子

    切株と日差し分けおり冬桜                   小笠原弘子

    赤松のみな赤裸々に冬の雨                  我妻 民雄

    木枯しや巨大建屋は夢の跡                  遅沢いづみ

    雨降れど雨音の無き憂国忌                  関根 かな

    山姥の声す木枯しの尾のあたり                清水 智子

    みな違ふ色を見てをり散紅葉                 松岡 百恵

    いちじく煮る厨に眼暗くして                   浪山 克彦

    時雨きてパリと貧困包みたる                 瀬古 篤丸

    うつし世は湖の底ひの冬紅葉                 太田サチコ

    磊々とただ磊々と秋深む                    阿部 流水

    再会の握手は両手冬ぬくし                   森  黄耿

    さみだれや珊瑚産卵する夜も                 土屋 遊蛍

    冬麗の吊橋渡る雨男                      佐藤 レイ

    一穂の寒灯あれば吾に翼                   佐藤 成之

    冬滝や生まれる前の世界より                 千倉 由穂

    すがれ虫きのふもけふも星あまた               塚本万亀子

    そぞろ寒テヅルモヅルの手が伸びて             佐藤 弘子

    萩・荻・芒かつて田のあり畑あり                三田村伸子

    松消えし余景の松原蚯蚓鳴く                 髙橋天津子

    川の向かうも被災地背高泡立草                丸山みづほ

    闇にある闇のやすらぎ木の実降る               草野 昌子

    甌穴もまた太古より秋日和                   坂下 遊馬

    二頭立て馬車は無けれど冬の虹               永野 シン



 
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