小 熊 座 2014/4   №347 当月佳作抄
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     2014/4  №347   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    雪国に来て勾玉のごとくあり                土見敬志郎

    潜る鴨浮く鴨砂押川二月                  阿部 菁女

    髙階の病室冬日と仲良しに                 平松彌榮子

    味噌油冬夕焼も量り売り                   中井 洋子

    お手玉の児の背に羽根冬日射               沢木 美子

    猟男老ゆ銃と伝説のみ光り                 長尾  登

    袰月や海をつらぬき雪が降る                矢本 大雪

    海底よりなやらふ声の湧くごとし               八島 岳洋

    岩つばめ雨後の光は噴くように               佐藤きみこ

    被曝千日わが影ともに山河凍つ              須﨑 敏之

    東京の波除稲荷冬木の芽                  田村 慶子

    ねんねこの夢ごと降ろす膝の上               佐藤 みね

    雪嶺や父の背骨と母の胸                   俘  夷蘭

    原子炉を見に来てるらし雪女                 田中  滿

    らいてうの言葉に融ける粉雪か               蘇武 啓子

    如月の大雪遺句集の如し                   森  黄耿

    帰り来よ里に帰れと虎落笛                  志摩 陽子

    雪雫ひかり落とすに余念なし                 瀬古 篤丸

    凍土より伸びて一樹の高さかな               春日 石疼

    沼一つ沼にかへして帰雁かな                さがあとり

    寒月をカラザ支へてゐるやうな                関  春翠

    千年を知る土偶の眼寒落暉                 坂下 遊馬

    遺されしことも忘れて日向ぼこ               塚本万亀子

    万物のはじめは一個竜の玉                 神作 仁子

    晴着みな海底にあり冬ざくら                 髙橋天津子

    一片の雲にも触れず雪解光                 斎藤真里子



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