小 熊 座 2014/5   №348 当月佳作抄
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     2014/5  №348   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    大寒や死を恐れねば詩は書けず              越髙飛驒男

    亡き人が夢にまた死ぬ春浅し                中井 洋子

    倒木の眠りを覚ます彼岸西風                小笠原弘子

    残雪の重さ村越化石死す                   津髙里永子

    潮吹の如つぶやきて存らえず                須﨑 敏之

    埋火や我らにミトコンドリアイヴ                春日 石疼

    日高見の小吹雪光伴ひて                   関根 かな

    生者さへ声なく泣きて梅真白                 瀬古 篤丸

    白木蓮や魂に不明者なんて無し               さがあとり

    ふきのたう卑弥呼の国の味ならむ             大西  陽

    永遠に明日は明日しやぼん玉               秋元 幸治

    つつがなく生きて凡庸草の餅                髙槗和か子

    祖父の手に成らぬものなし山椒の芽            水戸 勇喜

    どの駅も白梅阿武隈急行線                 渡辺 智賀

    天上は何の祭や風花舞う                  加茂いつゑ

    福島へ先に復りし春の雨                   根木 夏実

    春や春海の底にも道のあり                 斎藤真里子

    印鑑は名字くるんでおり春日                千倉 由穂

    うつし世と隔つ紙もて納め雛                 堂上 靖子

    落ちてより日を存分に藪椿                  神作 仁子

    大薬缶据えみちのくの梅見茶屋              田村 慶子

    幾枚もの春の入日を背負ひつつ              佐藤  茉




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