小 熊 座 2014/9   №352 当月佳作抄
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     2014/9  №352   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    夏の杭の如く運ばれ入院す               越髙飛驒男

    靴先に茅花のひかり誕生日               土見敬志郎

    生者には造れはせぬと虹立てり            浪山   克彦

    河骨に風立ち死への扉見ゆ               平松彌榮子

    風薫る遠野はみちのおくの臍              浜谷牧東子

    母の日や母より生きて子をもたず            鯉沼   桂子

    少年のポケット夜も葛嵐                 土屋   遊蛍

    何をもて一途となすか蜥蜴の尾             柳    正子

    死ぬときの口許如何に明易し              中井   洋子

    ほうたるの声は知らねど呼ばれたり          森田   倫子

    鏡中に梅雨夕燒と生きる我               岡田   明子

    梯梧散る無残の色と思ひたる              田中   麻衣

    身の内に轍のあとや梅雨晴間              髙橋和か子

    飛魚を空に繰り出す海の青               鎌倉   道彦

    大火とは蝎の主星初茄子                大場鬼怒多

    沙羅の花胎児に届く日の光               根木   夏実

    スナックの枝豆鹹き気仙沼                あべあつこ

    思春期の怒り何処から梅雨の川            平山   北舟

    油圧式ジャッキに乗って猛暑来た            亀山   行房

    戦争を知らぬが幸かカンナ燃ゆ             畠    淑子

    空豆のおでこ出雲の神に似て              竹内喜代子





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