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2015/2 №357 当月佳作抄
ムツオ推薦
衣ずれのどこかに今も冬の蝶 中井 洋子
心にこそ裏表あり雪蛍 小笠原弘子
星屑はくずのまま消え返り花 佐々木とみ子
山姥のゆばりのやうな時雨かな 田中 滿
枯れ切つても動かぬ色の黄菊かな 大澤 保子
全山の眠りて滝の氷り初む 土見敬志郎
太陽だった証女のほほえみは 沢木 美子
山鳩の目から始まる冬夕焼 我妻 民雄
パン値上げバター売切れ町は雪 津髙里永子
魚臭なき塩竈知らず寒の雨 小野 豊
結露して淡水魚的若夫婦 須﨑 敏之
村人の数より多し雪蛍 関根 かな
満腹にならぬ夢みて冬ざくら 渡邊 氣帝
小春日の万頭へ目が泳ぎだす 菊地 恵輔
酢牡蠣食ふまだ死ねないと柚子滴らし 岡田 明子
生きるのも死ぬのも怖い寒卵 松岡 百恵
病窓の見える病窓芭蕉の忌 春日 石疼
葉牡丹やマイム・マイムは陽の中で 渡辺 智賀
今日もまた瑣事に追われて鳰 永野 シン
天山も富士も土くれ一茶の忌 渡辺誠一郎
雪投げや肩に眼鏡に青空に 佐藤 レイ
我が歩み停める力や枯蟷螂 武良 竜彦
我もまた小さき原子炉息白し 布田三保子
喪に帰るのみの産土冬苺 中村 春
花も鳥もみな原始より冬夕焼 坂下 遊馬
冬の日を手繰るや母の編棒に 丹羽 裕子
小春日を二重に包むメロンパン 亀山 行房
一秒の中に一秒霰降る 山本美星子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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