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2015/4 №359 当月佳作抄
ムツオ推薦
雪暗や墓のごとくに百戸あり 土見敬志郎
顔よせてそれぞれひとり春炬燵 佐々木とみ子
三月の雪がまた降るコッペパン 浪山 克彦
寒に入る小笊に乾く野菜屑 阿部 菁女
地に触れてみな魂魄や春の雪 吉野 秀彦
雪竿がこの世の端に立つてゐる 八島 岳洋
牡蠣の襞舌でまさぐり会者定離 渡邊 氣帝
晴れた日のときどき雲に乘る目髙 森 黄耿
新海苔で包むとすれば陽の光 阿部志美子
桜餅東人には成りきれず 田中 麻衣
慰霊碑の潮濡れの影初蝶来 佐藤きみこ
太陽はひとつのみなり犬ふぐり 渡辺 智賀
行間に雪の声する開拓史 中鉢 陽子
くず湯吹き語りかけんと星探す 岡田 明子
海風に犇めく椿死は易し 瀬古 篤丸
霜柱わが性リビドー欲のあり処 阿部 流水
歳寄りしのみには非ず春みぞれ 山田 桃晃
廃屋にあらず輪飾掛けて置く 野田青玲子
大寒や震災遺構また消えぬ 髙橋 彩子
帰還とは戦地の話鳥雲に 坂本 豊
真つ直ぐに背骨を立てて陽炎へり 布田三保子
雪嶺に名を問ひながら一人旅 根木 夏実
風花や乳房に授乳せし記憶 草野志津久
老梅の百年の水脈聴いてをり 村上 花牛
靴下をちんばに履きて冬深し 棟方 礼子
崖止めの橿へ鳥影鬼房忌 横田 悦子
ダイヤモンドダスト旭に凄味あり 清水 里美
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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