小 熊 座 2015/5   №360 当月佳作抄
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     2015/5  №360   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦



    陸前はちぢれ雪菜に牡蠣と酒           我妻 民雄

    草餅をこねて終りぬ昭和の日            佐々木とみ子

    一遍上人絵巻の端に鷽のこゑ           阿部 菁女

    日髙見の尾骶骨より蘗ゆる             土屋 遊蛍

    春の星終の別れは手を振らず           日下 節子

    淡雪は七十億の供花として             髙橋 彩子

    春愁の炉心の底の潦                 渡辺誠一郎

    普賢岳火砕流跡初音せり              中村  春

    先生を待つは草餅さくら餅              永野 シン

    春がすみ都向きたる大臣の碑            岡田 明子

    たいまつの竹運ばるる濁世より          上野まさい

    啓蟄の湿りが空に爪先に              柳  正子

    雪卍又会ふべしと死者に言ふ            野田青玲子

    蘆の角風収まりし水の色              小笠原弘子

    春の月葛根湯の温みかな              伊澤二三子

    春の夜金糸卵のように母              中鉢 陽子

    可燃ゴミ出して東京空襲忌             武良 竜彦

    山笑ふ姥捨山も針山も               さがあとり

    秋蝶の飛びたる高さまでが雪            栗林  浩

    楢櫟﨔楠春の禽                   半澤 房枝

    遠足の何見つけても光り出す            牛丸 幸彦

    春の暮絵から抜け出すならば今          清水 里美

    追悼の青の深さも風信子              横田 悦子

    人故に踠いて前へ春の星              岡田とみ子

    青山は陸のみならず春の月            椊田 浩子

    揚ひばり三陸の海ただ無言            丸山千代子

    骨も血も肉もなくした六の花            山本美星子

    木蓮のまなうらのごとやわらかし         千倉 由穂






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