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 ２０１６／６ №３７３ 当月佳作抄
ムツオ推薦
花の奥音なし金管楽器店 我妻民雄
飼ひ馴らす目高舞舞挽歌とす 大場鬼怒多
子雀の一羽加わる濁世かな 渡辺誠一郎
凭りかかる柱もなかり春の空 日下節子
日暮れ呼ぶ波の力や松の芯 小笠原弘子
天に人をらぬ薄墨桜かな 津髙里永子
精霊の背丈となりぬ蘖は さがあとり
堆積し踏まれ返され春の土 宮崎 哲
仏壇で開きし仏花花の夜 遅沢いづみ
死者の名も五十音順花の冷 春日石疼
海の道すべて海より梅三分 土屋遊蛍
杖でつく薄氷の音非人情 髙𣘺和か子
大海の一滴ほどの春愁 𠮷野秀彦
春疾風この地捨てざる貌ばかり 永野シン
寝ころべば我もたんぽぽ空広し 清水智子
犬ふぐり二万のほとけの瞳が滲む 八島岳洋
椅子の足がたつくこれも四月馬鹿 千田彩花
土筆野の風は貧窮問答歌 沢木美子
たんぽぽは絮に夕べは白骨に 清水里美
春光や鎖骨はばたく形して 千倉由穂
畔道は神の褥か踊り子草 山口賢治
鍵穴に溜まる夕日や花疲れ 斎藤真里子
庭先に子雀の声晴れてきし 塚本万亀子
なんとなくへそ掻くほどの春憂ひ 樫本由貴
竹の秋糧にならぬが雨の音 亀山行房
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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