小 熊 座 2017/1    №380 当月佳作抄
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     2017/1   №380   当月佳作抄

                                   ムツオ推薦




    石蕗咲くや一団といふ強さ欲し           津髙 里永子

    寒晴や茂吉の嶺として聳ゆ             浪山 克彦

    心棒を蔵して冬の一木なり              渡辺 誠一郎

    毛繕ひ終へたるごとく山眠る             阿部 菁女

    戦いつまで日にそよぐ百日紅            清水 智子

    菊人形死んでしまつた顔ばかり           さが あとり

    凩の湧く源や古鏡                   柳  正子

    白息をもて繁栄の頃のこと              布田 三保子

    塩竈の坂の起伏や帰り花              土見 敬志郎

    時雨虹時雨と共に消え去りぬ            半澤 房枝

    道なくて光渦なす薄原                 阿部 志美子

    昭和とは黒焦げの鍋花八ツ手            中村 春

    大堀焼の馬の嘶き冬に入る             植木 國夫

    打たれ強き月下の釘の頭なり            春日 石疼

    鯤跳ねし銀河の下の町に棲む            八島 岳洋

    初冠雪の奥羽山脈わが鏡              俘 夷藺

    野晒しの死は贅沢や赤のまま            武良 竜彦

    水底に触れゆく魚影秋日和              鯉沼 桂子

    除染とは大地剥ぐこと鳥渡る             坂本 豊

    噴水の止まる梯子を外されて             牛丸 幸彦

    瞽女の眼にのこる夕日や石榴の実         大久保 和子

    神無月と言へば来栖野未知なれど         上野 山人

    せせらぎのなき国もあり葛の花            斎藤 真里子

    飯舘は楽土真神に村人に               丹羽 裕子

    月光は摩天楼にも墳墓にも              瀬川 亨子

    牡牛座流星群病室の椅子軋む            草野 志津久

    死火山は死語と言われて紅葉散る          亀山 行房

    箸持てば雁の近づく音のあり             佐藤 みね

    わたなかに精霊棲みて小春かな           遊佐 久美子




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