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 ２０１７／３ №３８２ 当月佳作抄
ムツオ推薦
人はみな秉燭者や雪こんこん 我妻 民雄
冬の朴の木空想の骨組みに 中井 洋子
山茶花の散るたび変る波の音 土見敬志郎
操り人形の如く老躯を初湯かな 増田 陽一
メメント・モリ メメント・モリと粉雪降る 佐藤 弘子
綺羅星に私語雪嶺に耳がある 大場鬼怒多
富士を背に太平洋へ布団干す 栗林 浩
鶴引くや筑前琵琶に月のこし さがあとり
夢つかみ損ねし指の股に雪 佐藤 成之
落葉する大樹に声のあるごとし 清水 智子
鮟鱇のいづくより来て吊るされし 平山 北舟
頭撫でられたるやうに初時雨 大久保和子
死ぬ予定誰にもなくて葱きざむ 渡邊 文子
生前も父は笑わず冬の星 冨所 大輔
恐ろしや転げ出したる寒卵 水戸 勇喜
凍蝶にして紋様の極まりぬ 斎藤真里子
雪山を置き去りにして上京す 千倉 由穂
尻白く光る綿虫消える時 あべあつこ
安達太良に雪除染袋に雨 橋本 一舟
眠る子の目蓋が動く冬銀河 髙橋 薫
降誕祭街に遅れて暮れる空 みぎて左手
被災地の一隅に住み年惜しむ 阿部志美子
地吹雪は蝦夷の嘆きわが忿怒 鎌倉 道彦
さつきまで男なりしを初寝覚 清水 里美
命毛にのぼる朝日や初硯 唯木イツ子
夢の人は夢に帰して初明り 草野志津久
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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