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2017/4 №383 当月佳作抄
ムツオ推薦
鏡餅その奥の闇知らぬ闇 越髙飛驒男
寒鯉の眼に幻の桜散る 増田 陽一
眼裏は戦争の闇桜咲く 上野まさい
春光は奥の鱗や河口まで 𠮷野 秀彦
寒月光廃屋の窓割つて差す 野田青玲子
濛濛と猪切り分けて解散す 須﨑 敏之
人の世へ遅刻しただけ冬の蝶 鯉沼 桂子
狐火の燃ゆる盛土の向かふ側 八島 岳洋
赤子あかく泣く白梅はしろく泣く さがあとり
梅の香やひとりにもある夕支度 永野 シン
亡者はや病むことはなし雪解川 武良 竜彦
紅絹裏に顔をうずめて浮寝鳥 沢木 美子
春寒の板碑に在はす観世音 太田サチコ
燃えるとき枯葉それぞれ違ふ音 斎藤真里子
ビー玉の中の海鳴り春の雪 坂下 遊馬
何をするつもりだつたか春一番 布田三保子
海底の貝の数ほど梅の花 神野礼モン
切株も息止めてをり大寒波
千葉 百代
わが骨も二百六本春を待つ 森田 倫子
裏日本出口ばかりや雪の暮 椊田 浩子
どんと火に晒せば同じ百の貌 郡山やゑ子
逝きし妻へと大寒の灯を点す 佐竹 伸一
霊を呼ぶため春満月になつてゐる 唯木イツ子
壁のひび塀の曲がりも春景色 清水 里美
消しゴムの弾み落ちたる余寒かな 斎藤真里子
匂ひにも音階のあり梅の花
杉 美春
北極星より手に近し辛夷の芽 髙橋 薫
薄氷の縁に生まれる息遣い 遊佐久美子
人間に心は一つ冬木の芽 亀山 行房
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