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2017/5 №384 当月佳作抄
ムツオ推薦
葦牙のひかりの先に原発炉 土見敬志郎
三月の海が薄目を開けるとき 渡辺誠一郎
生き延びてわれ三月の漂流物 阿部 流水
三陸の気嵐の底赤子泣く 土屋 遊蛍
視野の端東京姫斑猫といふ小虫 増田 陽一
霾るや未完のままの開拓史 小野 豊
狼は大神水の温みけり 佐藤 弘子
飯舘の斑雪野にふと手を合はす 日下 節子
穴のあいた心に詰める春の雲 小笠原弘子
尾鰭なき鮪の列の冴返る 栗林 浩
東京に原発は無し斑雪 高橋 彩子
朧月デブリが底に溜りゐる 瀬古 篤丸
こころまで被曝はせずや鳥曇 大久保和子
ことばには言霊はくれんには木霊 さがあとり
真っ黒な烏賊墨煎餅多喜二の忌 八島 岳洋
引き出しの深みにありぬ冬銀河 髙橋 森衛
風花と舞ふか大山津見神 平山 北舟
白梅のうしろの闇や怒濤音 斎藤真里子
月面に消えぬ足跡鳥雲に 松岡 百恵
蒲公英も帰化植物よへばりつく 菅原 玲子
手鏡をはみ出している春愁 阿部志美子
冬眠の泥鰌の気泡星粒は 平川よし美
此処彼処雪解等しき殉教地 清水 紗倭
ひとくちの白湯ひと抱への春愁 遊佐久美子
人泣いて泣いて桜の咲きしころ 石の森市朗
春泥や確かなものに腹時計 村上 花牛
連翹や放射能浴び生きてます 唯木イツ子
春の川ルビをふるなら「またあした」 千倉 由穂
バラの芽やいずれの向きも日を集め 小野 道子
人住めぬ地に還れよと蛙鳴く 髙和 文子
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パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
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