|
|
2017/11 №390 当月佳作抄
ムツオ推薦
南国に燕の溜る秋彼岸 増田 陽一
ちちははがありて蓑虫ぶらさがる 上野まさい
鶏頭のその夜弦楽四重奏 中井 洋子
秋蛍裳裾ひきずりながら飛ぶ 沢木 美子
原発と繋がつてゐる秋灯 我妻 民雄
舞茸のどさりと鳶の重さほど さがあとり
鶏頭の影の向かうの波の音 土見敬志郎
湯浴み児をまるめろの香の包みけり 阿部 菁女
赤味噌のやうな暑さよ関ヶ原 大西 陽
生きるとは雨切つて行く秋燕 浪山 克彦
天の川われら宇宙の底の底 俘 夷蘭
火の中に火の粉棲まわせ秋彼岸 武良 竜彦
充電の不要なりけりかなかなは 関根 かな
白もまた炎ゆる色なり芙蓉咲く 斎藤真里子
この世しか知らずに生きて秋夕焼 永野 シン
山河とてもとより無力秋出水 椊田 浩子
霧深し触れば熱き馬の背 鎌倉 道彦
胡瓜反り蕃茄は歪むみちのくは 丸山みづほ
鯖雲が日暮れの湖を軋ませる 山野井朝香
赤腹が貼りつく蜑の家の夜 土屋 遊蛍
星落つや目には見えない活断層 栗林 浩
昼顔に恋の疲れのやうな雨 鯉沼 桂子
都まで歩ける靴や真葛原 斉藤 雅子
銀河大のゴミ箱がある胸の奥 佐藤 茉
芋の葉に露配られているところ 佐竹 伸一
膨張の止まらぬ宇宙露の玉 小野 豊
底紅の底に墜ちれば生き地獄 亀山 行房
宵闇や流出止まぬ汚染水 橋本 一舟
銀河夜々砂漠に動く砂模様 三田村伸子
天の川コンソメスープの湯気ゆらり 小笠原祐子
夕刊の届きし音も晩夏かな 棟方 礼子
白桃の皮剝けるやう物忘れ 伊藤 浩子
再会とは生きてゐること秋の空 唯木イツ子
|
パソコン上表記出来ない文字は書き換えています
copyright(C) kogumaza All rights reserved
|
|